会社の真似女子 

私は洋服を買うのが好きです。
制服がないころ、私服で仕事をしていたのですが、
私が新しい服を着ていくと彼女が
「わー、着やすそうだね。どこで買ったの?」
「昨日会社の帰りに〇〇で買ったんだよ」
「ふーん、高かったんだろうね」
「そんなでもなかったよ」

次の日、彼女が私が昨日着ていた服を着て出勤。
「おはよう。昨日これ買っちゃった」
「えー、私と同じ色違いの服じゃない」
「うん、昨日ぶらっと行ったらあったから買っちゃった」
またかぁー!……

 

いつもそうなんです。
先に買った私のほうが真似したみたいな気になって、
自然と着なくなりました。


それからです。
今までのお店で買うのはやめて、
絶対どこで買ったか言わないようにしたのは……
大量生産じゃない洋服を選ぶようにしたのは……
お金はかかりましたけど、真似されることもなく、
また、長く着られたのでかえって良かったです。

酒癖悪い妻でーす

「お前は酒癖わるいから、外では一杯だけだぞ」
三十数年経っても未だに言われます。主人に。

会社での飲み会では、異常におしゃべりで楽しいお酒なのに、
主人には、くだまいたようなのです。
普段おとなしい(?)私が、ぐちぐち言ったそうです。
自分では覚えていません。
酔いの勢いで言ったことに責任はもてません。
でも、未だにいうくらいだからきっと傷つくことをいったのでしょう?
お酒ってこわい……こわい

それなのに、外で食事したとき、主人が
「ビールでも飲んだら?」
「いい、酔っぱらうから」
きっぱりと断ります。

「酒癖わるいからなー」

わかっているなら、勧めないでください!

女性専用車両…臭いね

女性専用車両
男性が乗らないので、痴漢にあうこともなく、安心して乗れる車両。
今まで乗ったことがなかったのですが、先日乗ってみました。
乗って一番最初に感じたことは、
「むむむ、臭い!」
思わずマフラーで鼻を押さえ、周りを見てしまいました。
確かに女性ばかり。

暖房でムーとしている車内ですから、化粧品の
「匂い」が
「くさい」
に変わっていたのです。
想像していたのですが、ここまで凄いとは……
まあ、痴漢に会うよりは安心して乗れるので
臭いなんて気にしないって事ですかね。

でも、この車両は御茶ノ水からは一般車両にかわり、
男性も乗れるみたいで、ホームに着くと並んでいました。
「大変だなー。こんな臭い車両に乗るなんて!」

でも、私が男性だったら、この車両になんか乗らないな…
何で乗るんだろう?
私は降りてしまったので、男性の表情はわかりませんでしたが…

どうしてかなー

買い物の途中、ちょっと気分がすぐれないので
椅子に腰かけボーッとしていると、
左の腕に手の感触が…その方向に顔を向けるとおじいさんがいました。

私は無言で「何?」というような顔をすると、
おじいさんが突然、
「この床がこんなに綺麗なのは、なぜかわかるかい」
「?」
「昔は床を機械で磨いたんだが、今は必要ないんだよ」
「?」
「今は素材のいいのがあるんだよ。だから技術も必要ないんだよ」
「?」

一方的に話しかけてくるのです。
なんなんだろう? その時、妹が買い物から戻ってきて
「おねえちゃん、いくよ」
「うん」
妹は呆れたように
「なんで気持ち悪いからって座っているのに、話に夢中になっているのよ」
「えー、一回もしゃべってないよ」
「でも、うなづいてたでしょ」
「うん」
「だから、相手は聞いてくれていると思って話すんだよ」
「そんなー」
「どうして、いつも話しかけられちゃうんだろうね?」

私達姉妹にはいつもの事なのです。
どうしてかなー?

実家の母

実家に帰ると母が
「おはよう」
と元気な声で迎えてくれる。

洗濯をすると
「伸ばそうか」
と手伝ってくれる。

お昼ご飯を食べるとき
「こんなに食べられないよ」
「大丈夫。残してもいいからね」
時間はかかるけど、全部たべる。

お昼すぎると母は眠くなり、機嫌がわるくなる。
あまり話かけると、
「話しかけないでくれる」
とイライラしている。
小さい子どもと同じだ。
「少し寝ると気持ちいいよ」
「でも、寝ている間にお前たち帰ってしまうだろ」
「大丈夫だよ。帰る少し前に起こしてあげるから」
少し寝ると機嫌が良くなる。

私たちが帰るときは、
「気を付けて帰ってね。旦那さんによろしくね」
と言ってくれる。

いつも私達を気遣ってくれる母……かわいい母です。

おっとりしている後輩

会社の同僚におっとりしている女性がいました。
何をするのもスローで、話すのもスロー。
営業の男性人がしゃべると、あとで私に
「あのー、〇〇さんが機関銃のように早口で話すので、理解できませんでした。何を言っていたのですか?」
と聞いてきました。
別にその人は機関銃のように早口ではありません。
でも、彼女からしたら相当早いようで、苦手な人だとの事でした。

 

その彼女が入社して数日たった時、会社で初めての事がおきました。
工場は、最後に工場の責任者が閉めて帰るのですが、
ある日、本社から電話があり、
「もっと気を付けて鍵をしめるように」
と連絡がありました。
「なに?」
その理由がビックリでした。
彼女が帰ろうとしたら、鍵が閉まっていて出られないと本社に電話があって、
急いで本社の人が駆けつけて鍵を開けたとのことでした。
彼女曰く
「トイレから出たら薄暗くなっていてビックリ。急いで出ようとしたら鍵がかかっていて、またまたビックリ」
その日以来、彼女が帰宅するのを確認するのが日課になりました。


まだあります。
緊急連絡があり、彼女の家に電話をした時の事です。男の人の声で
「はい、〇〇です」
「〇〇さんと同じ会社ではたらく〇〇と申します。〇〇さんいらっしゃいますか?」
「姉は今、お風呂に入ってます」
と弟さんが言いました。
私はとっさに
「じゃあ、長いですね」
「はい、ながいですよー。一時間はかかりますので…」
と笑っていました。

彼女らしいなー(笑)
なんか、ほっこりしたことを思い出しました。

山男はやさしい

その人はやさしい山男でした。

田舎から家に帰るのに列車に掛け乗り、
ぎりぎりだったので座れませんでした。
弟は
「座れないから、次の電車にしたら」
「大丈夫。次だと30分待つから乗って行っちゃうね」
「気をつけて」
「うん、じゃあね」
列車が走りはじめ、終点で降りるので奥のほうに入り、
荷物を床に置いて立っていました。
なにげなくお腹をさすっていると前の席の男の人が
「どうぞ、座ってください」
えー、
「いいえ、大丈夫です」
「どうぞ、座ってください」
あまり勧めてくれるので、
「すみません」
と譲ってもらいました。なんで、急に譲ってくれたんだろう?
あっ、もしかして
……私のその日の格好は前に紐がついているワンピース、ペッタンコの靴、
そしてお腹をさすっていたから……
お腹をさすっていたのは、いっぱい食べてきたので苦しくてさすっていたのが、妊婦と間違われたのだろうか?
きっとそうだ!
得した気分と、申し訳ない気持がいり混じったままの二時間の帰り道でした。